[インタビュー]月立屋米店

この町知ってる!

吉田あつ子さんの生まれは気仙沼から南、もう少し仙台に近いところ登米市になります。まだまだ道路が整備されていない時代、気仙沼へは来る機会もなく、

「わたしからすると、気仙沼は水揚げなんかのニュースで見るところ」

だったとか。

そんなあつ子さんは、高校の卒業記念に友人と気仙沼へ日帰りドライブをしたことから、八日町との縁がはじまります。

「車でたまたま、このお店の前を通ったのね。当時の家は戸も木で出来てて『わ、町の中に随分古いうちがあるな』って思ったの」

月立屋米店が八日町にできたのは1908年。その当時でもう69年目になる趣ある建物は、高校生のあつ子さんにはとても印象的だったのでしょう。

「そのあと就職して、縁があってここに嫁いだときに『なんかこのうち見たことあるな』って笑」

そこから40年、あつ子さんはすっかり気仙沼の人になっていきます。

 


わたしが八日町でもらったもの

八日町でうろうろしていると、とにかく多くの方から聞くのが、この月立屋米店吉田あつ子さんの名前。ついてくる形容は“元気”“楽しい”“頼りになる”など…ホームページ制作ワークショップにも初回から積極的に参加してくれた、あつ子さんのそのエネルギーは一体どこからくるのでしょう。

「わたしはとにかく人と会ったりしゃべったりするのが大好きなので、そういうのがあったらば、自分に支障ない限りは参加したり手伝ったりしたい。普段には会わない世界の人と会って話するっていうのも、すごく勉強になったり楽しくなったりするから。」

あつ子さん自身が八日町に来たばかりの頃も、近くの先輩奥さま方が様々な行事に声をかけてくれたからこそ、地域に“はまる”ことができたといいます。(この地域に“はまる”って言い方、はじめて聞いたのですがとってもいい言葉!)自分がそうやって先輩たちにしてきてもらったからこそ、次は自分が若い住人へ継ぎ、また次の人へ継いでいってもらいたいとあつ子さんは考えます。

「代がかわっても、八日町は続けてってもらいたい。だからなるべくね、なにか会合があるときも回覧だけまわすんじゃなくて、『こういうのがありますから来てくださいね』って声をかけてくださいって言うんですよね。直接声がかかると行きやすいじゃないですか。」

 


地域と行事

昨年行われた八日町二区での集まりの様子

震災の影響でここしばらくは静かになりましたが、元々八日町はイベントやレクリエーションなど行事が盛んな地域。それはあつ子さんが嫁いできた頃から、年長者が若い人に文化を伝え、関係を繋いでいく重要な役割があったそうです。

「結婚してまもなくの頃、近くの神社行事の準備するにも買い物からお煮染め、200個くらいのおにぎりも自分たちで全部手作り!それを町のみんなでして、長老みたいな奥さまが『神様にあげる野菜は見栄え良く、大きく切りなさい。家庭で作る二倍くらいにしなさい』って教えてくれて『は〜そうなんだ〜』ってちょっと勉強しながらねえ」

時代の流れと共に人も減り、ここ最近は全てをみんなで手作り…というのはなかなか難しく、業者に頼ってしまう部分も多いそうですが、それでもなるべく行事はなくさないように続けていくのが願いだそうです。

「行事があるってことはやっぱ、ね。地域の集まることなので。友達だけだったらいつでも会えますけど、同じ地域の人でも、なにかイベントなければ会わない人もあるので、やっぱりそういうのは必要ですよね。」

「時代にあわせて変わってしまったんですけど。それでも良いから、行事はなくさないようにして続けていこうって。手作りだけにこだわらずに。人が少ないなりにできることはやって、やっぱり代々続けていこうねってはみんなで言ってるんですね。」

形が変わっても続けていくことに意味がある。行事とはその行いばかりが目につきがちですが、それらが本来伝えていくべきものをあつ子さんは知っているのかもしれません。

 


今ここから、ね

2016年、八日町にできた復興公営住宅『八日町236(ニサンガロク)』は新しい住人たちの居場所だけでなく、八日町全体の集会所の役割も担っています。ここを基点に、これからの町の骨格を作れればとあつ子さんは話してくれました。

「八日町は一区と二区で分かれてるんですけど、合同の集会所もできたし、一緒にやってかなきゃいけないと。元々分かれてたものが一つになるっていうのは難しいんですね。気持ちが一緒になるっていうのは時間かかるじゃないですか。だからいっぺんにはできないと思うから、徐々にね。」

「まずはたまにお茶したり喋ったりしてるうちに、いろんな考えとかね、近くなっていっていつかひとつになればうまくいくんじゃないかなって思うの。」

そしてこれからの八日町を作っていくには新しい人を受け入れる土壌作りも欠かせません。『八日町236』に住む新しい町の住人の歓迎会も兼ねた新年会をあつ子さんは企画中だとか。

「古いものはもちろん大事にはしますけど、そればかりじゃなく新しいもの、ちょっと発想的に変わったものがあっても良いんじゃないかなって思います。そうするとみんなも元気になるし、明るくもなるし。」

「ちょっと違うところからのエネルギーをもらいたいとわたしは思うのね。同じ地元の人たちだけではなかなかできない部分もあるし、考えも似たりよったりなので。違うとこから来た人からの刺激あって、一緒になにかをやっていくみたいなのが良いですね。」

『八日町236』の住人さんたちがもしこの記事を目にしていたら、是非歓迎会・新年会に参加して、直接あつ子さんとお話をしてもらえたらと良いなあ思います。その結果、うまく八日町に“はまる”ことになったら…とっても嬉しいなあ。

 

(文・猫田耳子)


商店名 月立屋米店
業種
店主 吉田憲夫さん
話し手 吉田あつ子さん
創業年 1902年(八日町では1908年)
営業時間 7:00-19:00(日曜定休)
住所 八日町1-5-4
電話番号 0226-22-0030
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