ドンツキクエストin気仙沼を終えて

気仙沼八日町復興まちづくりの会では、平成29年3月25日、26日にドンツキ協会を気仙沼にお呼びしてドンツキクエストin気仙沼を開催しました。2日間に渡るドンツキクエストを振り返って記事を書きますね。

じゃ、私が案内しましょうか??

まず、1日目。私たちが初めに向かったのはドンツキ、ではなく八日町の月立屋米店さん。2011年の震災の時、比較的海に近かったのにも関わらず流されずに残った立派な木造の建物です。

実はドンツキクエストの日取りを決める段階で、このお店の吉田あつ子さんにはドンツキを巡るまちあるきについて話をしていました。「この辺でドンツキって言葉自体あまり聞かないし、そういう場所って実は気仙沼には少ないのよ!」地図で見ると、ドンツキは山沿いにたくさんあるように見えるので、この時は(そんなことないでしょ!)って僕は少し思ってました。。

みんなで月立屋さんの話を聞いてから、市役所第二庁舎近辺を散策してみようという雰囲気になると、あつ子さん「じゃ、私が案内しましょうか??」わー!これは願ったり叶ったりの展開です。八日町に住んでいる方と八日町を歩いてみるイベントはやりたかったことの一つです。

市役所第二庁舎裏のBRT路線を渡り(この時点で『地図上では』ドンツキなのでした。)、ジブリの映画に出てくるような細い坂道を1列になって進んでいく、、人の家の庭(?)のような通り道を抜けると「松尾神社」と書かれた鳥居が。

あつ子さんのお話はとても流暢で、気仙沼のこれまでの歴史がどんどんと明かされていくようでした。そして「松尾神社、ここでドンツキか、」と思いきや後ろに獣道のような小路が伸びています。
「ドンツキが少ない」ってこういう意味なんですね。。一見ドンツキだけど、どこまでも伸びていく道が多いということ。おそるべし気仙沼。ドンツキ判定できない魔境がたくさん。

参道を抜けると違う神社の参道へ。。

さっきの松尾神社の裏の道を登っていくと、今度は違う神社の社にたどり着きました。ここは「熊野神社」。ここに来るまで、だいぶ山道でしたが、、山歩きですよね、これは。ドンツキ協会会長によると「あくまでまちあるきです」とのこと。

そして歩いて15分ほどの道のりでしたが、地図上の位置としてはそんなに動いてないのもびっくりです。熊野神社は月立屋さんの裏山を超えたところにある金港館という宿のすぐ上でした。下の道を通っていけば徒歩3分もかからない距離です。

この日はこの後、魚町の紅梅さんの揚げパンを食べてから、太田の方の尾根道沿い、浜見山の尾根道沿い(気仙沼小学校付近にこれまた地図上でしかドンづいてないドンツキが、、)を通るというハードな行程でした。。

太田のカーブミラーでパチリ。

翌日26日は東京スリバチ学会の皆川さんご一行と気仙沼駅で合流し、古町新町三日町の様子を見学しながら、気仙沼八日町復興まちづくりの会の代表の島田さんのお店にご挨拶。

ドンツキ不在の謎が明らかに


(撮影:末永健治さん)

25日のツアー終了後に島田さんのお店でしばらくお話を伺っていたのですが、その時、ドンツキ協会会長の齋藤さんは島田さんの話で腑に落ちたところがあったようです。
その話のキーワードは「埋め立て」。町名の古町、新町という言葉もヒントになっていて、今気仙沼の方々が生活しているところは、昔の気仙沼の地形ではほぼ「海の底」だったようです。古町が一番古い地区。その後、新町、三日町、八日町と埋め立てが行われたようです。地図上でドンツキだったところの大半は埋め立てした地区と昔の海岸線の境界。

そこがドンづいていては昔の人は生活できなかったわけで。岬からの道を山の中の道(今回のクエストで通り抜けたような林道)で繋いであげることで、生活動線を作っていたわけです。
齋藤会長「ドンツキを探していると、いつの間にか山へと登りスリバチを見つけることになる。それが気仙沼クエストの醍醐味です。」


(撮影:小野寺充太さん)

これはスリバチ学会さんに用意して頂いた気仙沼の高低差を表した地図。この地図の青いところがほぼ海だったということですね。もう一つ写真に映っているのは、ドンツキ協会による気仙沼の「ケ」バッチとスリバチ学会さんの「スリ」バッチ。参加者全員にプレゼントして頂きました。

26日のドンツキクエスト後半をダイジェストで。

(撮影:末永健治さん)

アーバンさんのチャペルでドンづく皆さま。
港町の方からくっきりと見えるこのチャペル。僕も初めてお邪魔しましたが、当然ここからも港全体の様子がくっきりと見えるんですね。ちょうど工事が始まる大島架橋の解説を地元の参加者の方にしてもらったりしましたよ。

(撮影:末永健治さん)

これは「劇場型ドンツキ」と呼ぶらしいです。神奈川県の真鶴でも似たようなドンツキがあったとか。ここからは内湾地区が一望できます。

(撮影:末永健治さん)

五十鈴神社へは、スリバチ学会皆川さんのアテンドで。と思ったら入り口でドンツキ発見!ここからは入れないようです。

(撮影:末永健治さん)

お神明さんがあったところはドンツキとなっていました。(やっとドンツキクエストらしくなってきた。)

(撮影:末永健治さん)

これは大島架橋のアーチですね!!クレーン線で橋がかかるところまで運ぶそうです。クエストのあちこちで、町から村へ、村から自然へ、自然から土木へ、と雰囲気が変わる場面がありました。これも今の気仙沼の風景を形作っているポイントなのかもしれません。

スリバチ学会様、前日は仙台の岩出山をツアー。26日はなんとバスで気仙沼まで来てくれました。気仙沼市役所からドンツキ御一行も乗せて、伊達政宗公と共に仙台へ。

今回2日間に渡るドンツキクエストに関わってくださったみなさま、ありがとうございました!今まで気仙沼をこんな風に歩くことはなかったです。1年に1回くらいこういう機会を作れたら楽しいだろうなあ。外からの目線、地元の方からの目線、新参者(私)からの目線。いろんな見方で町を眺めると不思議と共通のヒントが見つかるのではないでしょうか。

(基準点マニアの方がいたり、地質学マニアの方がいたりしたのも楽しかった。こういったまちあるきに様々な観点の学問を背景にした方々が参加してくれるのも、これからのドンツキクエストやスリバチツアーに良い刺激を与えてくれるのでしょうね。)

(文・吉川晃司)

Print Friendly