点けていきます、八日町のアカリ

気仙沼八日町復興まちづくりの会の事業「八日町のアカリプロジェクト」が、3月末の照明実験に向けて本格的に動き始めました。照明実験の施工は3月21日から23日を予定していますが、それに先駆けていくつかのお店では「先行モデル」として照明設備の取り付けをしてみよう、というスケジュールになりました。

早速本日3月6日、小松家具店さんの壁面にブラケット照明1台と電球照明3つを取り付けさせて頂きました。タイマーセットにより、午後6時から朝6時まで照明が点灯するようになっています。みのり市さんの辺りから眺めると、車のライトや信号の明かり、防犯灯、魚町内湾ビルの照明、様々な照明の中に、小松家具店さんの照明も良い感じに溶け込んでいました。

昨晩(3月5日)は、コミュニティセンターでぼんぼり光環境計画のかくだて先生に八日町で行う照明実験の概要について説明して頂きました。写真は、かくだて先生が「ボイド空間」と呼ぶ空地化、駐車場化している土地をプロットした図面です。八日町にボイド空間がいかに多いかということが良く分かると思います。

こういった場所を隣地の建物壁面から照らすことで、安心して歩けるような町の風景を作ることができます。街路灯や防犯灯のように上方から照らす明かりではかえってボイドとなる場所の暗がりが目立ってしまうそうです。足下の高さで明かりをつけてあげると、車道よりも歩道空間が目立つ町並みになります。「歩道空間を照らすと歩行者が目立ち、車の運転者にとっても万が一の事故を回避することができる」というかくだてさんの話には、思わず膝を打ちました。

また、八日町を取り囲む「山」の斜面を照らす明かりをボイド空間に設置することで、道ゆく人は八日町の「地形」を意識することができる。もし何かあった時は、山の方に避難するための誘導灯としても役立つだろう、とのことでした。

説明会を終えて、本日は八日町の様々なお店を訪問しアカリプロジェクトの概要説明や設置のご協力のお願いをしてまわりました。行く先々で手厚くもてなしてくださり、今日頂いたコーヒーやお茶は計5杯ほど…笑 みなさん本当にありがとうございました。

一緒にお店を訪問したのは、ぼんぼり光環境計画の荒木さんと東京都市大学小林研究室の赤根さん。事務所の仕事として、自身の研究として。様々な立場でこの町に関わってくれる人たちがいるのはとても喜ばしいことです。

夕方になり、照度計を持ちながら町の様々な場所の明るさを測るため町を巡っていると、照明をご夫婦で確認している小松夫妻に再び会うことができました。入念に照明のソケットの様子を確認する小松さん。とても好評でした。

また、八日町商店街の亀屋さんでは、商店街についた街路灯の歴史について話を聞くことができました。昨晩の説明会ではヒューマンスケールを無視して設置してしまった街路灯を、ある意味「悪い例」として語っているような雰囲気になってしまいましたが…。よくよく聞いてみると震災からの早期復旧、予算の調整など様々な努力のもと八日町通りの照明が作られていることを知ることができました。街路灯がある場所でも、照明についての悩みは尽きないそうです。八日町通りの明かりについても、一つのケースとして何か形を提案できたら良いなと思いました。(例えば、八日町通りから脇の道に曲がるとやはりそこは真っ暗。小路地ならではの照明を設置できたら…)

明日3月7日は引き続き照明実験の挨拶回りや照明のテスト設置などをする予定です。次回ぼんぼりさんと小林研究室の滞在は3月21日から23日。八日町のアカリ、待ち遠しいですね!

(文・吉川晃司)

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